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zoom RSS エネルギー進路論 第四の革命が日本を変える 飯田哲也 ちくま新書 780円

<<   作成日時 : 2011/12/31 14:10   >>

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ヨーロッパは2050年までに自然エネルギー100%?

 前半は、自然エネルギーの利用が世界全体でいかに一般化しているか、その一方で日本がいかに遅れているかを指摘している(その日本もかつて太陽光発電で世界一だったこともある!)。その様子はたとえば次のように記されている。「2008年にアメリカは風力発電の領域において、世界一位の座をドイツから11年ぶりに奪還します。これはカリフォルニアやテキサスなどいくつかの州で実施されていた効果的な政策がベースにあり、諸州の政策と国の支援策がうまく噛み合った結果です。こうした成果をオバマ政権は引き継いで、連邦政府の自然エネルギー支援策の延長を決定しました。自然エネルギーへの流れが加速しているのはアメリカだけではありません。アメリカをずっと先行したのは欧州です。ドイツを筆頭とする欧州諸国は、自然エネルギーの電力を採算のとれる価格で長期間買い取ることを定める「固定価格買い取り制度」などの普及支援策によって、2000年代に入って、自然エネルギーの急激な普及期を迎えました。代替エネルギーとしての本格的な普及に加えて、産業経済的にも大きな市場に成長してきたことから、「第4の革命」と評されています。」「風力発電については、2009年には新規に設置された規模が3800万キロワットに達し、原発一基がおよそ100万キロワットですから、原発38基分の設備要領に匹敵する風力発電が、2009年一年間だけで新設されたのです。太陽光発電は、2009年に原発10基分の設備要領に匹敵する1000万キロワット、2010年には16基分の設備要領に匹敵する1600万キロワットが新しくつくられています。一方原子力はどうかというと、2000年代を通して低空飛行を続けており、2009年にはついにマイナス(純減)に転じました。」日本はこうした海外の動きに比べてはるかに遅れている。これは電力会社などによって意図的に自然エネルギーの普及が抑えられてきた影響が大きい。しかし、日本の場合も状況は変わってきている。3.11以降、日本の原発は定期検査や事故などによって停止を続けており、30%といわれていた原子力の担う割合も10%程度まで下がってきている。「これが3.11以降の日本の原子力の『新しい前提』なのです。」「問題の本質をつきつめて考えれば、減少していく原発による電力供給を、どのように代替エネルギーでまかなっていくのか、という論点に尽きるのです。」2009年の太陽電池メーカーの販売シェアによるランキング表によれば、日本のメーカーは3位にシャープ、7位に京セラが入っているに過ぎない。米国のメーカーは同じく2社だが、中国のメーカーは10以内に4社入っている。こうした点からもわかるように、「自然エネルギーの分野で、日本企業が後塵を拝している最大の理由は、日本政府が掲げた『原子力立国』というエネルギー政策の方向が、時代の流れに逆行し、完全に間違っていたことに由来します。」なお、EUでは、2020年の環境エネルギー目標として、『20・20・20』(トリプル20)を定めている。2020年までに自然エネルギーの比率を20%に高め、省エネルギーを20%実現し、温室効果ガスを20%削減するというものである。これに沿って、各国は2020年までの自然エネルギー導入目標を掲げている。自然エネルギーの加速度的な成長を考えれば、2020年までに自然エネルギー20%という目標は、欧州にとって2050年あたりに自然エネルギー100%達成する手頃なマイルストーンとなりうるだろう。」

各国の先進的な取り組み

カリフォルニアの場合
 「1978年、アメリカのカータ政権は、公益事業規制政策法という法律を作りました。」「この法律は、電力会社に、市民などが風力発電でつくった電力を買い取ることを義務づけた法律です。カリフォルニア州はこの法律を巧みに活用し、自然エネルギーの普及を促す仕組みをつくることに成功しました。」「カリフォルニア州は買い取り価格を高値に設定しました。それと同時に、税金によるインセンティブをつけ、設備投資のリスクを引き下げることで新規参入の障壁を低くしたのです。」また、カリフォルニア州の州都サクラメントのサクラメント電力公社は故障続きの原発を止め、木を無料で植える事業と効率の悪い電気冷蔵庫の買い換えを支援する取り組みを始めました。サクラメントは、気温こそ高いものの湿度が低く、木陰を増やすことが冷房需要を減らすことに効果があると気づいたのである。しかもお金を払っても自分の家に太陽光発電を取り付けたい人を募集し、そこで生み出された電力を自分の会社の電線に接続したのである。これには応募が殺到した。位までは全米で500を越えるグリーン電気プログラムが広がっているほか、欧州各国やオーストラリアにも広がっており、日本でも長野県飯田市などで同じような取り組みが進んでいる。この他にも、デンマークの例などがこの本の中に記されているが、こうした先進的な実例に共通しているのは、「自然エネルギー電力の固定価格による買い取り制度」が大きな役割を果たしていることである。しかも、最初はローカルコミュニティでの小さな試みだったものが、より大きなスケールで拡大することで、自然エネルギーは成長期に入ったのである。「その後も固定価格買い取り制度(FIT)を導入する国が増えてゆき、2010年には、世界で85カ国・地域が導入するまでになりました。」このFITのほかに固定枠制度(RPS)というものがあるが、これは電力会社が導入すべき自然エネルギー(場合によっては非化石エネルギー)を固定枠を決めておく方式である。しかし、この方式は十分機能していない。

自然エネルギーの拡大に逆行した日本

 日本の場合には、当初2000年に固定価格買い取り制度がめざされたものの「通産省と電力業界を見方にできなかったために廃案と」なった。電力会社が反対した理由は、ドイツやヨーロッパの自然エネルギーの爆発的な普及を見て、「自分たちが構築してきた既存の独占体制を、脅かす恐れがあると直感したからでしょう」通産省は「返す刀で、固定枠制度」を提案してきた。これならば、「自然エネルギーの拡大を調整することができるとして説得し」てきた。そして、これが実現するが、その内容は2002年から2010年までの8年間で、新エネルギーの割合を0.3%から1.35%まで増加させるというもので、しかも前年超過達成すると翌年はいっさい買い取らなくてもノルマは達成できるというものだった。したがって、これは新エネルギーを増やすどころか、増加を抑制するものでしかなかった。「日本における自然エネルギーの普及に急ブレーキがかかったのは、この法律の存在によります。」この法律は「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」といった、通称は「新エネルギー特別”阻止”法」と呼ばれていた。しかし、3.11後の今年8月、菅総理の手によって再生可能エネルギー全量買取法案が成立、「今後具体的な設計となる政省令をきちんと作るなどの宿題は残されていますが、法律としては、ようやく、12年越しの自然エネルギー促進法が陽の目を見ることになったのです。」「価格などの細かい条件が決まるのはこれからで、条件が中途半端なものになったら、おそらく自然エネルギーの爆発的な普及は望めないでしょう。これから日本で自然エネルギーが普及するのかそうでないのかは、今まさにソフトバンクの孫正義社長がキャンペーンしている『自然エネルギー全量買い取りを40円/キロワットアワーで20年間義務づける』のような、具体的で実現可能な条件を設定できるかどうかにかかっています。」

これからの日本のエネルギーシフト

「わたしたち環境エネルギー政策研究所が3.11直後からずっと提案しているエネルギーシフトとは、・・・10年程度で原発を停止し、2050年には石炭・石油と天然ガスもゼロにする、というもので」ある。ダムも含めた自然エネルギーの比率は現在10%である。「この10%という比率を、2020年までに30%へと拡大する。」そして、もう一つ大切な項目は、「省エネで20%減らすです。」そういうと、暑さや寒さを我慢するというイメージになるが、「現在の水準では、省エネ節電は不便さを我慢せずとも可能なのです。」部屋の明かりをLEDにするだけでも改善効果は大きく、より少ないエネルギーで現在のエネルギーサービスを維持する方法を考えることで、節電は可能なのである。「省エネの究極のかたちのひとつとして、暖房なし住宅というものが考えられるのですが、これはすでに実現されています。」たとえば、スウェーデンのヨーテボリ郊外にその住宅はあるという。「暖房設備はまったくありません。壁の厚さが40センチほど。窓は三重で、いちど閉じこめた熱は絶対に逃がさないというコンセプトにもとづいて設計されています。外気温がマイナス30度でも、室内を20度に保つという性能の住宅です。熱源は、もちろん太陽からのエネルギーが主ですが、この地域は真冬になると日照時間が2〜3時間程度しかありません。まずはその太陽エネルギーをしっかりと閉じ込めます。ほかに閉じ込める熱としては、電気製品が出す熱があります。」「さらに人間が出す熱も閉じ込めます。」「無暖房まで徹底せずとも、暖房に関していえば現状の3分の1から4分の1までは苦労せずに減らすことができます。」「今と同じ生活のレベル、今と同じ経済活動を維持しながら、電力消費を20%減らすことは夢物語ではありません。」



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