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zoom RSS 原発列島を行く 鎌田慧 集英社新書 700円

<<   作成日時 : 2011/12/11 21:28   >>

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 日本各地の原発を取材しつつ、まとめた本である。2000年から2001年頃の出来事が記してあって、やや内容的には古い。大きな事故としては、チェルノブイリやスリーマイル島、国内では東海村のJOCの臨界事故などが起きた直後である。しかし、日本の原発開発の実態が鋭く描かれており、その内容は今なお色あせていない。筆者がこの本の中で、力を込めて記しているのは、第一に原発が途方もないカネの力によって作られ、そのことで地元に公民館や図書館などの施設が作られるものの、結局は地域の発展にはつながっていないことである。第二に、発電に用いた核燃料の廃棄物の処理がどうにも進まないことである。もちろん、廃棄物を再処理して新たな燃料にする技術などは確立していない。

進まない核廃棄物の処理

 「廃棄物をどんどん六ヶ所村にはこべば、そのままプルトニウムになって、原料として蘇る、などという『夢の増殖炉』や『魔法のサイクル』など、いわば絵に描いた餅で、とんでもない食わせものだったことが、ようやくあきらかになってきた。このために、てっとりばやく、深さ1000メートルほどの地層に処分しようという、『高レベル廃棄物処分法』が、ろくに審議もしないうちに、2000年5月の国会で成立させられた。最終処分場の候補とされているのは、北海道の幌延や岐阜県の東濃地区ばかりでなく、最近ではいくつかの候補地が現れている。かつて、動燃幹部に会ったとき、処分場には『自然的条件』よりも、『社会的条件』が大事、といわれて驚いたことがある。つまり、住民が受け入れるかどうかが問題で、自然的条件なら技術的にカバーできる、との考え方である。」この章は能登半島の原発問題を取り扱っている。「珠洲の『原子力立地』に、原発の建設計画をもたない北陸電力が、なぜ、『窓口』としてはいっているのか、その謎が、これで解けるようになる。能登半島の羽咋郡志賀町地区に遅れてきた原発を作った北陸電力が、関電、中電との『核処分クラブ』に参加した、という意味である。」
 鹿児島県の種子島の沖合に馬毛島がある。かつて、たくさんの住民がいたが、現在は土地が買い占められて住民はいない。核廃棄物の中間貯蔵所になるのではないかと疑われている。「浜脇組合長は、福島原発内の貯蔵所を見学して、『安全だ』と発言、原発予定地でお定まりの『先進地無料見学ツアー』には、すでに400人ほどの種子島の住民が参加した。ひとりあたり10万円と考えれば、4000万円にもなる。計画がないのに、ムダ金を使うはずがない。土建業者を中心とした誘致運動もさかんで、3000人規模の『総決起集会』もひらかれている。2000年7月上旬、わたしが種子島を訪れたときにも島中の道路沿いに、『中間貯蔵所は住環境をこわしません』『中間貯蔵所は30年も無事故です』『税収増で減税します』などの立て看板が並び立てられていた。」
 「JCO事故から一年たって、核施設はしびれを切らしたかのように動きだした。住友金属鉱山は、技術センターの再開を、核燃は、再処理工場の再開をそれぞれ画策している。さらに原研は『大強度陽子加速器』の建設計画を打ち出した。これは中性子を発生させる装置で、この装置によって核種の寿命を短くさせ、核廃棄物を簡単に処分する、とのふれこみである。『夢の増殖炉』と喧伝された『もんじゅ』にも似た、『夢の加速器』ともいえるが、隘路にはいりこんだ核廃棄物処理の現状を逆手にとって事業化に向けた宣伝がはじまりそうである。」
 青森県下北半島には再処理工場や原発など、多くの原発関連施設が存在する。「むつ市が、嫌われものの『核廃棄物』を受け入れることにしたのは、市立の総合病院の赤字などによって、赤字再建団体への転落のおそれがでていることなどが作用している。およそ年間20億円と算定される『電源三法交付金』と固定資産税などをあてこんだ、カネと危険を引き替えにする大バクチである。」むつ市といえば、原子力船むつの母港として知られるが、原子力船むつは放射線漏れで廃船となった。「結局、原子炉は外されて見せ物とされ、『むつ』の船体は転用された。が、港はそのまま残され、いま核廃棄物の陸揚げ港として狙われている。」「むつ市は、中間貯蔵所を売り込む理由に、『むつ』の使用済み核燃料保管の実績があることを挙げている。これなどは、貧すれば鈍する、というべきいいかたである。」「むつ市で中間貯蔵施設建設の動きがはじまったのは、原発立地県で、使用済み核燃料の貯蔵、保管に対する不安がたかまってきた、96年以降である。『もんじゅ』の事故で、高速増殖炉構想も破綻し、『核燃料サイクル』などは、画に描いた餅で終わりそうになって、福島、新潟、福井県などの知事が、将来どうするのだ、といいだした。これに対して、総合エネルギー調査会の原子力部会が、『2010年頃を目途に発電所以外での貯蔵も可能となるような環境整備を行う』という方針をだした。トイレが溢れて糞詰まりになる。だから、とりあえずどこかへ運べ、それが『中間貯蔵所』構想である。」「ブツを預かってくれるのなら、倉庫業者でもなんでもOK、という杜撰さに、JCO臨界事故の二の舞が懸念される。使用済み核燃料は、すでに全国の原発敷地内に9000トンも溜まっている。これ以外に、毎年900トン以上が発生する。それを処理するためには、いませ建設されている六ヶ所の再処理工場など、本当に稼働できるのかどうか、安全操業が可能かどうかわからない代物である。」「中間貯蔵所が、はたして最終処分場に持ち込むまでの、暫定的な置き場ですむのかどうか、肝心の最終処分場の候補地が決まっていないので、まだ不透明だが、再処理工場の『原料』の名目で、核廃棄物を六ヶ所村に搬入しつづけているのは、ペテン、といっていい。」 

すべたカネで解決するやり方

 福井県敦賀市には原発が立地している。「市の財政課できくと、原電と旧動燃からはいった固定資産税は、71年からの27年間で、720億円に達する。年に平均して27億円、固定資産税の65%を原電と旧動燃で占める。これにたいして、97年の市の歳入は323億円である。このほかに電源立地促進対策交付金が、74年から94年までの23年間で、110億円はいった。」「しかし、これらの交付金は、7年たつと交付されなくなるので、多くの原発立地自治体は、あたかもカンフル注射が切れた状態になり、あらたな原発を欲するようになる。原発は麻薬依存症にさせて荒廃させる。」
 「原発に私が反対している大きな理由は、すべてカネの力で解決するやり方である。これほど人間をバカにしていることはない。建設の実施は、原発がもっている目的の崇高さとか、人間生活にとっての意味などによって、住民を説得した結果ではない。はじめのころは、科学技術の粋だとか、第三の火だとか、挙げ句の果ては『クリーンエネルギー』だとかいいながら、住民の無知につけこんで建設してきたが、いま説得する理屈はただ『必要だから』だけだ。予定地でまずはじまるのが、いつでおなじ『先進地視察』名目の、無料の観光旅行であり、飲ませ、食わせの買収である。つまり、説得ではなく、買収が原発の常套手段である。それでしか建設できないのは、存在自体が危険だからである。」 

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フェラガモ 靴
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フェラガモ 靴
2013/07/03 09:17

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