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zoom RSS 階級都市 格差が町を浸食する 橋本健二 ちくま新書 840円

<<   作成日時 : 2011/12/15 08:01   >>

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 階級都市とは何か。本書の末尾にある結論的な部分から、その内容を確認することにしよう。「巨大な格差を抱え、階級の棲み分けがすすみ、それぞれの地域が格差にもとづいて序列化される階級都市から、格差が小さく、それぞれの地域が序列化されることのない個性を発揮し、異文化の接触からつねに豊かな文化を生み出し続ける交雑都市へと転換する一歩となるだろう。」
 この本の前半は理論編ともいうべきところで、都市にどのように、どのような格差が生じるのかが検討されているが、後半は東京を舞台にしたフィールドワークの部分で、ここに書かれたことからも階級都市というものがどのようなものかわかる。東京には山の手と下町といわれる地域があって、前者が新中間階級や資本家といわれる人々が暮らす場所。後者が労働者の暮らす場所といわれてきた(新中間階級等の呼び方は筆者の用語による)。現代における前者の代表が世田谷区だが、そのなかでも丘の上に位置する成城から尾山台に続く高級住宅街がある一方で、三軒茶屋から烏山へと続く谷沿いの庶民の町があって、世田谷区自体のジニ計数も低くない(ジニ計数が高いと格差が大きいことになる)。その一方、足立区は東京23区でも就学援助を受けている子どもの数が一番多く、学力そのものも低いなど労働者階級の住む町だとされている。ところが、この足立区にも高級なマンションなどが工場の跡地などに建てられ、新中間階級などが増えてきている。だから、区単位で労働者が多いとか新中間階級が多いなどと大ざっぱに把握することが困難になってきたのが現代の特徴だともいえる。ところが、こうして様々な階級の人々が住む街で、異なる階級の人々が共同して暮らしているわけではない。むしろ反目しあうことが目立つようになってきている。そうした例として筆者は、光が丘団地や板橋区のサンシティなどの例をあげている。たとえば、光が丘団地は緑も豊かで建物の形や大きさも様々で、企画化されたいわゆる団地とは少し異なるイメージを持っているが、そのなかには公団の分譲、賃貸、都営住宅などいくつかの形態の住居群が含まれている。公団の分譲に暮らす人々が学歴も一番高く、収入も多い。逆に都営に暮らす人々は学歴が低く、収入も少なく、公団の賃貸がその中間的な存在となっている。これは理論編でも述べられていることだが、収入のが少ない人の方が互恵的に暮らして、お互いの生存のために助け合っている。こうしたこともあって、収入の低い人々は多くの人々と付き合いながら暮らしている。高収入の人たちはただでさえ孤立的になりがちなところに加えて、都営の人々が街を汚すとか、違法駐車をしているとか、低収入の人々をさげすみ、交流を望まない。こうして、さまざまな階級の人々が混在しても、さまざまな文化が交流して、豊かな暮らしが実現するという理想とはほど遠い。
 対策として筆者が勧めているのは、公的な資金によって貧しい人でもある程度費用のかかる住居に住めるようにすることである。そうすれば、階級ごとに棲み分けたり、他の階級やそうした人たちが住む地域を嫌悪する必要もなくなる。
 格差社会化によって、不平等が進むと都市全体の死亡率が上がるという問題が取り上げられている。「データは、不平等な社会に住めば、どんな所得のレベルの人でも死亡率が上がってしまうことを示している。」「なぜ、こうなるのか。大きな格差があるとき、人々は強い心理的ストレスを感じ、健康を害しやすくなる。さらに人々の間に信頼関係が形成されにくくなり、信頼に基づく人間関係も失われていく。すると、人々は敵意を抱きやすくなり、犯罪が増加し、ストレスはさらに高まる。」だから、格差が大きな都市に死亡率が上がるというわけである。どこまで信憑性のある話かわからないが、様々な階級に人々が混在し、異なる文化が心地よく共存できなければ問題は発生するのだろう。この点に関して、おもしろい話が載せられている。筆者は20年ほど前に、都道府県による大学進学率の差がなぜ生まれるのかを研究したという。たとえば所得水準の高い県や、高学歴者の比率の高い県で、大学進学率が高いのは当然である。しかし、そうした要素がないのに、進学率の高い県がいつくかあったという。そしてこれらの県の共通点は、高校間の進学実績の差が小さいということであった。つまり小学区制などになっていて、学校間の学力にあまり差がないのである。現在ではこうした都道府県は少なくなっている。こうした県の学校では、どこの高校にも大学進学者が一定数いて、そうした生徒を日頃から見ていることで進学への意欲が強まったのではないかと筆者は見ているのである。逆に、現在の東京都のように、高校間の格差が広がった場合、大学進学への意欲を示す新中間階級の子どもたちに触れる機会がないまま成長し、出身階層による進学実績の差がますます大きくなるのである。この話に出てくる高校間の格差の小さい県が、いわば様々な階級が混在すると地域ということになろうのだろう。






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