おみやげと鉄道 名物で語る日本近代史 鈴木勇一郎 講談社 1500円

まず装丁の美しさが目につく本である。昔の列車が停車する駅で、駅弁を売るおじさんと客。きれいで暖かな絵で描かれている。筆者は欧米(アジア諸国も欧米と同傾向)と日本でおみやげに関する考え方がまったく違うことを指摘する。欧米のおみやげは基本的に自分のために購入する手工芸品が中心であるという。これに対して日本はそこに行ったことを証明するような食…
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戦前の日本を知っていますか? 昭和研究グループ 1600円 はまの出版

再読した本である。以前にも書いたことであるが、昭和戦前期を勉強する意味は、戦後とは異なり、日本に自生した社会だからである。戦後の日本は占領軍によってその基礎が作られたから、きわめてアメリカ的な制度・仕組みの社会である。たとえば教育も戦後は単線型で、戦前は複線型である。ところがおもしろいことに、戦前期の制度の中にも救済的な仕組みが多数存在…
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西田幾多郎の思想 講談社学術文庫 小坂国継 1100円

日本における数少ない体系的哲学である「西田哲学」を深く知りたい気持ちは強いが、その著述は難渋をきわめているので、直接西田自身の本ではなく入門書から学ぼうと考えた。読み終わって、その100分の1も理解できないのはたいへん残念である。そもそも西田哲学を今学ぶ意味は何であるだろうか。それに応える記述が本書の末尾に見られた。「今日の地球環境の問…
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教養の力 東大駒場で学ぶこと 集英社新書 斎藤兆史 700円

筆者は東大教養学部の教員であるが、1991年の大学設置基準の大綱化以降軽視され続けていた大学における教養が最近リベラルアーツなどとして見直されてきたという。しかし、一見明らかなような教養の中身が必ずしも明確でなかったり、時代とともに変化していることを指摘する。大正教養主義の象徴ともいうべき三冊(西田幾多郎「善の研究」阿部次郎「三太郎の日…
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日本の「労働」はなぜ違法がまかり通るのか?  星海社新書 今野晴貴 840円

筆者はPOSSEというNPO法人を大学生時代に立ち上げ、労働相談に応じてきたという人である。まだ大学院生である。筆者がこの本の中で繰り返し強調していることは、終身雇用、年功序列制という日本的な労働慣行が、世界にも類を見ない過酷な労働現場をこの日本にもたらしたということである。二つの要素によって個人が守られることと引き替えに、サービス残業…
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絶望の国の幸福な若者たち 古市憲寿 講談社 1800円

 帯には26歳社会学者による大型論考の誕生とある。ちょっと大げさな感じもするが、26歳の博士課程の大学院生にしては文章も、内容をしっかりとしていると感じた。内容はまさにタイトルの通りである。  現在の若者の状況は「はじめに」に次のように要約されている。「実際、現代の若者の生活満足度や幸福度は、ここ40年間の中で一番高いことが、様々…
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弱者の居場所がない社会 貧困・格差と社会的包摂 阿部彩 講談社現代新書 740円

 帯には貧困問題の新しい入門書とある。私には新しい知見はあまりなかったように思う。ただ、ホームレスの方の具体例が知らないものであった。 生活崩壊の実態 「過去1年間に電気料金、ガス料金を滞納した経験のある世帯は、それぞれ4.7%と4.5%、約20世帯に1世帯の割合となる。」「健康ではなかったのに医療サービスを受けられなかった…
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「お手本の国」のウソ 田口里穂ほか  新潮新書 740円

 帯には、「フィンランドの教育法、フランスの少子化対策、アメリカの陪審制度、イギリスの二大政党制、ホントにまねして大丈夫? 現地からのリアルレポート」とある。実際にここに書かれている国々の例は、日本が学ぶべきお手本とされているが、実際現地では日本の人々が考えているように、理想的にことが進んでいるのかどうか、冷静に検討すべきではないかと私…
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エネルギー進路論 第四の革命が日本を変える 飯田哲也 ちくま新書 780円

ヨーロッパは2050年までに自然エネルギー100%?  前半は、自然エネルギーの利用が世界全体でいかに一般化しているか、その一方で日本がいかに遅れているかを指摘している(その日本もかつて太陽光発電で世界一だったこともある!)。その様子はたとえば次のように記されている。「2008年にアメリカは風力発電の領域において、世界一位の座をド…
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短歌で読む昭和感情史 日本人は戦争をどう生きたのか 菅野匡夫 平凡社新書 800円

昭和万葉集を編集した筆者が、昭和の時代を生きた人々の歌を歴史的な背景も含めながら記した本である。戦争の時代を生きた名もなき庶民の思いに接することができた。  一番最後に載っている歌。「敗戦から少し時が経って、ある気持ちのいい朝、食事を終えた老夫婦の会話である。    あなたは勝つものとおもってゐましたか と老いたる妻のさびしげ…
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エネルギーを選ぶ時代は来るのか NHKスペシャル「日本新生」取材班 NHK出版新書 740円

2011年の夏頃放送された番組を本にまとめたものであるが、ポイントをいくつかに絞ってより詳しくかかれている印象である。おおまかに いって、前半は日本で一時期大きくクローズアップされた再生可能エネルギーの利用がなぜ進まなかったのかについて、後半は再生可能エネル ギーの先進国スペインと原発大国スウェーデンの現状が書かれている。 日本で…
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昭和陸軍の軌跡 川田稔著 中公新書 940円

 今年は日米開戦から70年目である。そうした意味で、なぜこの無謀な戦争に至ったのかについて関心をもつ人も多いのであろう。この本の趣旨について、後書きに次のように記されている。「昭和陸軍は、満州事変を契機に、それまで国際的な平和協調外交を進め国内的にも比較的安定していた政党政治を打倒した。その昭和陸軍が、どのように日中戦争、そして対米開戦…
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泣きたくないなら労働法 佐藤広一 光文社新書 740円

社会保険労務士が書いた労働法の入門書である。雇用環境が厳しくなるなかで、労働者を保護する労働法を知らないために損をする場合も少なくない。だから労働法ということである。こうしたものは、もっと学校が教えてもいいような気がする。帯には次のような質問がある。本書の内容から、答えを含めて記すと次のようになる。 ●朝礼・着替えは労働時間? イエス…
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階級都市 格差が町を浸食する 橋本健二 ちくま新書 840円

 階級都市とは何か。本書の末尾にある結論的な部分から、その内容を確認することにしよう。「巨大な格差を抱え、階級の棲み分けがすすみ、それぞれの地域が格差にもとづいて序列化される階級都市から、格差が小さく、それぞれの地域が序列化されることのない個性を発揮し、異文化の接触からつねに豊かな文化を生み出し続ける交雑都市へと転換する一歩となるだろう…
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世界で広がる脱原発 フクシマは世界にどう影響を与えたのか 別冊宝島編集部編 宝島新書 700円

第一章 イタリアが報じた脱原発  イタリアでは6月12,13日原発に関する国民投票が行われた。これは投票率が50%を越えなくては有効とならない。「そして、6月13日。15時の投票終了を待たず50%を越えた13時15分、マダマ宮殿(上院議会堂)でベルルスコーニの記者会見が報道される。『私たちは、原子力に永遠の別れを告げなければならな…
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原発列島を行く 鎌田慧 集英社新書 700円

 日本各地の原発を取材しつつ、まとめた本である。2000年から2001年頃の出来事が記してあって、やや内容的には古い。大きな事故としては、チェルノブイリやスリーマイル島、国内では東海村のJOCの臨界事故などが起きた直後である。しかし、日本の原発開発の実態が鋭く描かれており、その内容は今なお色あせていない。筆者がこの本の中で、力を込めて記…
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ビブリア古書堂の事件手帖2 三上延 メディアワークス文庫 530円

北鎌倉の古書店を舞台にした、古本の蘊蓄を利用した軽い推理小説である。第一巻と第二巻の違いは、第二巻の方がより話の内容が洗練されたと思う。古書店の店主栞子さんの素性も次第に明らかになってきて、第三巻がますます楽しみというところである。
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テレビは余命7年 著者 指南役 大和書房 1400円

テレビがつまらない  まず昨今のテレビが、見えない敵の恐怖におびえ、自主規制によってつまらなくなっている状況が紹介されている。「自然と、誰にも責任が及ばない、無難な番組づくりになる。いわゆるプラスを狙うのではなく、マイナスを生まない仕事の進め方。気がつけば、お笑い芸人やグラビアアイドルがひな壇に座り、ときどきワイプで抜かれ、VTRをみ…
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戦争で読み解く日本近代史 河合敦 NHK出版新書

第一章と第二章が日米関係、三章と四章が日中関係という具合に、国別に記述しているのがこのほんのスタイルであり、今までにない書き方のように思われる。その結果、太平洋戦争も何度も登場するので、ある意味煩雑だという印象もあるが、同じことがたびたび出てくることで復習になるのも事実である。記載されている内容にとくに目新しいことがあるわけではないが、…
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ビブリア古書堂の事件手帖 三上延 メディアワークス文庫 590円

 おそらく高校生などが読む本なのであろう。余程のきっかけがなければ私などがこうした本を読むことはない。きっかけは新聞の書評に載っていたからである。堅い本ばかり取り上げている書評にこの本が取り上げられていること自体めずらしい。それは古書に関する知識に書評子が注目したからだろう。といった具合にいくつかの偶然が重なって読むことになった本。自分…
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脱原子力社会へ 電力をグリーン化する 長谷川公一 岩波新書 800円

 サブタイトルになっているグリーン化だが、おおむね環境によく効率もよいものに変えていくことをいうようである。これでこの本の内容もわかるわけだが、実際には原子力発電の基本にも触れているし、脱原発のための市民運動の解説にもなっている。その意味ではコンパクトだが、多様な内容を含んでいると言えるだろう。  最初はフクシマの今回の事故の解説から…
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日米開戦への道(下)避戦への九つの選択肢 大杉一雄 講談社学術文庫 1250円

上巻は1941年の春~夏、民間ルートから始まった日米交渉が頓挫し、アメリカの態度が次第に硬化してくる状況で終わり、下巻は1941年の7月ルーズベルト大統領から仏印の中立化提案があって、再び日米交渉が本格化するところから始まる。開戦の四ヶ月前である。 仏印中立化提案と幻の首脳会談  日米関係が緊迫化する中で、7月24日大統領は…
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天皇陵の謎 矢澤高太郎 文春新書 800円

考古学を専門とする新聞記者の方が書かれた本である。かつてほとんど調査が行えなかった天皇陵も、最近では見瀬丸山古墳が学会の代表に公 開されたり、少しずつ状況は変わりつつあるように思われる。しかし、天皇の代替わりがあれば、今まで以上に公開されるに違いないと考えられ ていた昭和の頃の期待は実現しなかった、といっていいのだろう。天皇本人がどう考…
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労働法入門 水町勇一郎 岩波新書 800円

労働法の誕生  19世紀の終わりから20世紀のはじめにかけて、先進国の労働者が低賃金、長時間労働の大変厳しい状況に置かれた。「このような事態が顕在化し深刻化するなかで、そこに現れた労働者の肉体的・経済的な危険と人間としての自由の欠如を是正する技法として発明されたのが、「集団」法としての労働法であった。ここで生まれた労働法は、市民革命が…
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偽善エネルギー 武田邦彦 幻冬舎新書 760円

様々なエネルギーのこれからの可能性と、私たちの暮らし方について論じた本である。2009年に出版されているので、東日本大震災や福島第一原発の事故などは記述に反映していないが、原発について筆者が論じていることをおそらく修正する必要がないと判断したせいか、そのまま継続して発行されている。全体的に今現在の普通の論調とはいささか異なる観点から論じ…
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放射線から子どもの命を守る 高田純 幻冬舎ルネッサンス新書 800円

札幌医大の先生が放射線の基礎について述べた本である。気になるところを抜き出しておこう。 放射線は体にどんな影響を与えるの? 大量に浴びれば障害が起こる 放射線が体に与える影響は、放射線の量と種類によって異なります。ただし、大量の放射線を受けた場合、体に障害が発生する基本的な仕組み は同じです。大量の放射線を一度に受けると、体の中の…
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原発はいらない 小出裕章 幻冬舎ルネッサンス新書 838円

京都大学の助教でありながら、原発の危険性を訴え続けてきた人が著者である。自らの経歴についても本書の中で触れているが、東北大学で原子物理学を勉強していた当時、女川原発の反対運動に出会い、原発の危険性を指摘するために研究者になったという。その意味では今回の福島第一原発の事故は予想していたものなのである。この本の中から大切だと感じた点を抜き出…
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フランス、イギリス 働くルールと生活保障の最新事情 労働総研仏英調査団 571円

フランスやイギリスのすすんだ労働条件を調査研究し、日本の労働条件の改善につなげようとして作られた本である。日本は非正規雇用の拡大と東日本大震災からの復興という大きな問題を抱えているが、これらを視野に入れた国内的な労働条件の改善というのが具体的な目標となる。 フランスの労働条件の特徴は以下の通りであるという。 ①2002年2月世界で一…
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日米開戦への道(上) 大杉一雄 講談社学術文庫 1250円

日米開戦の原因が日中戦争にあることは明らかであり、この本でも日中戦争の終戦工作からその記述を始めている。最初に詳しくふれているのは、近衛内閣の外務大臣になった宇垣一成の和平工作からである。しかし、この工作は突然の宇垣の辞任によって終結する。追い込まれた日本政府は汪兆銘を担ぎ出すことになったが、これが日本・汪の双方にとって悲劇的な結果にな…
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原発と権力 山岡淳一郎 ちくま新書 760円

帯には、「一体、誰が原発政策を進めたのか?歴史を知らずして、『フクシマ』は語れない。」とあって、日本における原発政策発達史ともいうべき本だということがわかる。では、実際に誰が原発政策を推進したのだろうか。それは、あのジャイアンツのオーナーとして知られらる正力松太郎なのである。読売新聞社主だった正力は政治家になることに意欲を持ち、それをテ…
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